みなさん、こんにちは。制作部のげんた(@gsc_genta)です。
あけましておめでとうございます。お久しぶりな気がしますがきっと気のせいですね()
今年中にこのシリーズを完結できるように頑張っていきますのでよろしくお願いします!
前回記事では腕について紹介しました。腕の動きについても図示できたらよかったのですが、(絵で描くのも大変なので・・・笑)全身の筋肉について紹介した後、素体を実際に作る時に説明できたらと思います。他の部位の動きについてもその時に説明する予定です。気長にお待ちいただければと思います。
今回は肩周りと胸郭について見ていこうと思います。腕から体幹へといった感じの流れでいきます。結構説明することが多いので複数回に分けていきます。書くことが多いので文字が多くなってしまいましたがお付き合いいただければと思います。
▼ちなみに前回記事はこちら
美少女キャラクターの美術解剖学 #3
前回同様、ここにでてくる骨を粘土やファンド、パテ等で用意して記事を見ながらそれらに筋肉をつけていくようにすると、より理解が深まると思います!胸郭は塊として作ってもいいですが、第6~10肋骨がどこら辺にあるか分かるように目印をつけておくとよりイメージしやすいと思います。
まずは肩周りと胸郭の骨構成についてみていきましょう。この記事での以降の図はすべて図1をもとに作成したものなので見方が分からなくなったらこの図をみてください。
図1 肩周りと胸郭の骨構成
手のひらを正面に向けて腕を斜め前に挙げて立っているときの肩周りと胸郭の右手側半分を腹側と背側、側面から見た図です。肩甲骨の部位の名称も覚えておくとより解像度が上がります。(肋骨描くの難しかった・・・)
胸郭の形は捉えにくいと思いますが腹側、背側、側面、頭側から見たときの大まかな形を図示しますので、もし作る際はこちらも参考にしていただければと思います。(図2)
図2 肋骨のイメージ図
この図の胸郭は7×5×10の直方体から腹側、側面→頭側→・・・の順で形を意識しながら削り出し、形を整えていったものです。大まかな形ですがこれに丸みを加えればいい感じの胸郭になると思います。
▼各骨の比率は美少女フィギュアの美術解剖学 #1を参考にどうぞ
美少女キャラクターの美術解剖学 #1
肩周りは一見ややこしそうに見えますが・・・その通り。ややこしいです!笑
その最大の原因は肩甲骨の位置でしょう。つながっている骨は鎖骨のみ。あとは筋肉で体幹部とつながっているので作る際に位置を決めにくく、間違った位置で作ってしまうと説得力のない肩ができてしまいます。肩甲骨の位置を知るのに一番手っ取り早いのは実際にそのポーズをとってみて肩甲骨がどこにあるかを知ることです。もちろん同じようなポーズをとっている肩甲骨が見える資料でもいいです。
骨の位置関係をわかりやすくしてくれるのがおなじみランドマークです。今回は肩周りと胸郭にあるランドマークを紹介していきます。
造形に必要であろうランドマークをまとめたのが図3です。
図3 肩周りと胸郭のランドマーク
赤くマークされている箇所が造形時の目印になるランドマークの場所です。これらのランドマークを頼りに筋肉をつけていきます。
それでは肩周りと胸郭の筋肉について見ていきます。今回も私が制作時に一つの筋肉として扱っているグループごとに紹介していきます。グループ名はとりあえず付けただけなので参考までに。より細かく調べたいときは図中の筋肉の名前で検索していただければと思います。
腕とは違っていくつかの筋肉が重なっている箇所も多いため、私が造形時に作る順番に見ていきます。もちろん他にも筋肉はありますが造形にはあまり関与してこないため省略してます。
まずは前鋸筋から紹介します。(図4)
図4 前鋸筋
ボクサー筋とも呼ばれている筋肉です。第1~9肋骨及び肩甲骨の内側(腹側)につきます。実際に造形するのは第7~9肋骨につくあたりかと思いますが他は意識しなくてもいいかといわれるとそうではなく、美少女でもある程度意識しないと肋骨周りが寂しくなってしまいます。胸郭と肩甲骨との空間を埋めて土台を作るイメージで軽く盛っていきます。この時上腕三頭筋も作っておきましょう。
次は広背筋グループの紹介をします。(図5)
図5 広背筋グループ
ここでは広背筋+大円筋+脊柱起立筋を広背筋グループとしてます。広背筋と大円筋は上腕骨の画像の位置につき、大円筋は肩甲骨の下角、広背筋は胸椎から腰椎にかけてつきます。脊柱起立筋は背骨に沿って隆起している筋肉です。複数の筋肉で構成される脊柱起立筋ですが造形する上ではそこは重要ではなく、図4で図示しているあたりまでの背骨に沿った隆起が脊柱起立筋によるものなんだなぁ~くらいの認識で大丈夫です。ここでは見切れてしまっている広背筋と脊柱起立筋ですが、体幹部についてやる時にまた紹介します。広背筋と大円筋は腋を造形する上で重要な筋肉です。位置関係やボリューム感を知ることでより良い腋作りができるようになるでしょう。
次は棘下筋を紹介します。(図6)
図6 棘下筋
肩甲骨と上腕骨の画像の位置につきます。あまり意識されにくい筋肉ではありますがこれを意識することで肩甲骨周りがよりリアルで説得力のある造形になるでしょう。「女性 肩」等で検索してみると肩甲骨から肩に向けて伸びる棘下筋を見ることができると思います。
次は大胸筋について紹介します(図7)
図7 大胸筋
まず大胸筋を作る前に上腕二頭筋を作っておきましょう。大胸筋は鎖骨内側(鎖骨全長の2/3ほど)と胸骨、第6肋骨及び、上腕骨上端よりちょっと下(大結節稜)に上腕二頭筋をまたぐようにしてついている認識で大丈夫です。上部、中部、下部とさらに分けることができますが美少女の場合はそこまで気にしなくても良いです。筋肉質なキャラを作る際は意識してみるとよりかっこよくなると思います。個人的には大胸筋上部にもしっかりボリュームがある大胸筋はかっこいいと思います!笑
そして三角筋です。(図8)
図8 三角筋
いわゆる肩の筋肉です。鎖骨外側(鎖骨全長の1/3ほど)と、肩峰、肩甲棘及び、上腕骨の1/2ほどのところ(三角筋粗面)につきます。前部・中部・後部に分けられ、美少女キャラではそこまで意識する必要はないとは思いますが、分かれていることを知ってて作るのと知らないで作るのとでは作りやすさが違ってくるので頭の片隅にでも入れてもらえればと思います。
最後にこの記事で出てきた筋肉をすべて重ねたものをご用意しました。(図9)
図9 肩周りと胸郭の筋肉
この記事で出てきた筋肉をランドマークとも重ねた図です。どんな筋肉がどのように重なっているかをざっとでもいいので捉える助けになると思います。筋肉の付着部とランドマークが重なっている箇所が多いこともわかると思います。筋肉も脂肪もつきにくい箇所だから骨の形が浮き出てランドマークになっているので当たり前と言えば当たり前ですが・・・笑
とりあえず肩回りと胸郭の筋肉についてざっと書いてみました。これだけではわかりにくいと思うので次回で足りないと思うところの補足説明等していこうと思います。複雑に入り組んでいたり筋肉の起始部停止部も腕に比べて多いので小難しく見えるかもしれませんがランドマークを意識しながら見てみるとわかりやすいかもしれません。(骨の模型を使って「ここについてます!」ってできたら手っ取り早いのに~)
それでは、良い造形ライフを!👋